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バナナ顎の化石哺乳類は音を出す稀な能力とリンクしている 5.02.06
 デューク大ニュース
 SEXUAL DIMORPHISM OF THE INTERNAL MANDIBULAR CHAMBER IN FAYUM PLIOHYRACIDAE (MAMMALIA)
 DONALD D. DE BLIEUX, MICHAEL R. BAUMRIND, ELWYN L. SIMONS, PRITHIJIT S. CHATRATH, GRANT E. MEYER, YOUSRY S. ATTIA
 Journal of Vertebrate Paleontology Volume 26, Issue 1 (March 2006) pp.160–169

 とりあえずニュースをほにゃ訳
 Thyrohyraxは、ありそうもないほどかわいく見える現生のハイラックス(イワダヌキ)
 とは非常に異なった見かけをした、有史前のハイラックスだった。
 Duke Lemur Centerの古生物学者は3500万年前の化石哺乳動物の新しい描写を組み立てた。
 そして、彼らは音の気配を加えさえした。

 エジプトのFayum 州にある有名な化石層から採集されたThyrohyraxという化石哺乳動物の
 何百個もの標本を苦心して測定し、研究者はこの現在絶滅している種のオスを決めていた。
 そしてオスにだけ、 バナナにとてもよく似た特大の膨れた下顎があった。 研究チームは、
 奇妙な顎が形づくる風船のような構造の空洞を使って音を出したかもしれないと推測した。

 この推測が正しいならばThyrohyraxとその化石の類縁が、音を出すためのこのような骨格
 の構造が発見されている唯一の哺乳動物であると、研究者は言った。 彼らは、いくつかの
 恐竜が同様の音を出すメカニズムを用いていたと考えられると言い足した。

 研究者はJVPの3月号に彼らの発見を発表し、JVPは4月中旬に出版された。 この研究の筆頭
 執筆者はDonald DeBlieux、Duke Lemur Center(以前はPrimate Center)の元研究員で、現在、
 ユタGeological Surveyにいる。 Duke大からの他のチームのメンバーはDuke Lemur Center
 化石研究部長のElwyn Simons、研究部のキュレーター Prithijit Chatrath、筆頭事業として
 研究を開始した人類学の元学生Michael Baumrind、また、エジプトのGeological Surveyの
 Yousry Attiaが研究に参加した。

 チームの研究は国立科学財団によってサポートされた。

 科学者は、バナナあごのイワダヌキが彼らの現代の対応者と、外見が非常に異なっていると
 言った。

 「今日のイワダヌキはおよそウサギのサイズであり、モルモットによく似て、日光浴を好む
 ありえないほどかわいく見える哺乳動物である。」と、Simonsは言った。 「イワダヌキの7
 つの種が現在、中東から南アフリカまで帯状に生息している。」

 これまでの研究から科学者は、Thyrohyraxが他の多数の初期のhyracoid類縁と共にその下顎の
 内部に膨大した空洞部を持っているのを知っていた。 その特徴は内下顎窓として知られている。

 Simonsは、しかし、知識がそこに本質的に止まっていると言った。 問題の一部は、今日のイ
 ワダヌキがそのような骨格の特徴を欠くので、ほとんど洞察を提供しないこと、また、比較的
 わずかなThyrohyrax化石しか研究のために発見されていなかったことと、彼は言った。

 Simonsはカイロから南西に約2時間のドライブに位置するFayumサイトで化石を集めて、その供給
 問題を解決した。 数10年間の間、Simonsは人間に繋がる霊長類の進化を彼の主な研究目標の
 一部とし、初期のサルと類人猿の化石を求めてそのサイトを訪問した。 「エジプトのバッド
 ランド」でこれらを発掘する間に、彼のグループはThyrohyraxの顎の系統的な分析を許すこと
 ができるくらいの標本を集めた。

 Simonsは、「20世紀前半以来、古生物学者は化石イワダヌキの内下顎窓を知っているが、その
 意味が不十分にしか理解されていないと言った。」

 答えを得るために、Duke大チームは新たに利用可能な化石の歯のサンプルを測定した。

 「最初に、私たちは食物を砕くのに使われる臼歯を見て、我々の標本の臼歯が皆、同じ
 であることがわかったので、それらが同じ種であることをかなり確信していた。」と、
 DeBlieuxは言った。 「しかし、化石の半分にだけ、膨大している顎があった。」 これは、
 この特徴が1つの性だけにあるのを意味した。 しかし、どちらの性か? これまでの研究で
 このような顎の構造はメスで見られると示唆していたと彼は言った。

 それで、研究者は顎の前部にあり、噛み付くのに使用される切歯を分析した。 現代のイワ
 ダヌキでは、オスにはメスより大きい切歯がある。 DeBlieuxは、分析される化石の中では
 測定値から、膨大した顎の化石には、 より大きい門歯があることが示されると言った。
 この観察から、研究者はこの動物がオスであると推論するように導かれた。
 しかし、それらの奇妙な顎はどんな目的に役立ったか?

 Simonsによると、今日のイワダヌキは、アフリカに今日見られる動物の大部分がいなかった
 時代の遺物である。 現在の科学的な考えでは巨大な小惑星が6500万年前に恐竜を全滅させ
 てから、ほとんどの現代の哺乳動物のグループが多様化して、より大型になったのを支持し
 ている。

 全滅させられた恐竜によって空いた多くの生態学的地位は、満たされるのを待っていた。
 Afrotheres、「アフリカからの獣類」と呼ばれる1つのグループの動物が好機をつかんだ。
 そのグループから、今日のイワダヌキが由来する子孫であるとSimonsは言った。
 Afrotheres(子孫にはイワダヌキと同様にゾウとツチブタを含む)は様々な適所に多様化し
 て、結局、アフリカの優位な陸上動物になった。

 DeBlieuxは、イワダヌキの発展が多様化したので、空洞が中にある、湾曲し、膨大した顎の
 Thyrohyraxは特に奇妙な適応を示すと言った。また、ある他のイワダヌキ科の種は同様の適
 応を示したが、彼は、骨格の特徴がThyrohyraxで最も著しいと言い足した。

 「私たちのチームは長い間、空洞の目的を推測していた。例えば、私たちが提案した1つの考
 え方は、空洞に膨大した唾液腺があったということであった。」と、Simonsは言った。

 「我々の現在の発見は可能性を限定する。」と、彼は言った。 「一番もっともらしい説明は、
 空洞の顎が音を発生させている装置であったということである。」 彼は、この動物が求愛や
 つがいのディスプレイの一部として音を出すのに空洞を使用したかもしれないと言い足した。

 DeBlieuxによると、この哺乳動物の珍しい顎の背後の説明を洗練する助けは、恐竜のモデルの
 研究からかもしれないという。 彼は、とりわけ、多くの博物館が音を出す空洞を持つ恐竜骨
 格モデルをつくり、それらによって科学者が恐竜の出した音を復元するのを可能にしている
 と言った。

 今度は、DeBlieuxは化石イワダヌキのために同じようにしたがっている。 「私たちがこの奇
 妙な動物が実際に出した音を聞くことができるたように、彼らの顎の模型をつくるのが一番
 適切だろう。」と、彼は言った。